
京都市左京区 柳瀬・完山・玉利邸 改装費用231,200円
京都市左京区にあるシェアハウス「kyoto kitchen」は、この連載の筆者である @tamachangg 自身が2009年に新しい暮らしとDIYの実験現場として改装を始めた家で、シェアハウスとして始まってから現在で丁度丸3年が経過しようとしています。近くには観光地としても有名な哲学の道や、南禅寺などもあり、京都の東山の山裾の非常に静かな場所にこの家はあります。

ここでは、日本中から京都でのショートステイのために人々が集まって、ゲストハウスのような感覚で泊まっている人もいます。ちゃぶ台は職人大島さんの作品。真上にスポット型のハロゲンライトが仕掛けられており、夜はちゃぶ台を浮かび上がらせます。このちゃぶ台で料理を囲むのが、このシェアハウスの住人達のライフスタイル。

ちゃぶ台 ¥102,900
Size / W : 70cm H : 26cm D : 70cm Material / 檜(ヒノキ) + ワックスフィニッシュ
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そもそも、暮らすってなんだろう?
そもそも、3年前に東京出身だった僕が、縁もゆかりも無い京都に引っ越してきた理由がいくつかありました。ひとつは東京都心の高い家賃をずっと払い続けて暮らしていくことに疑問を感じ始めていたこと。この写真は当時住んでいた部屋なのですが、渋谷区に月々家賃15万円の大きなワンルームマンションに住んでいました。しかし、徐々に暮らしを支えるために仕事をしているような形になってしまい、なんのために仕事をしているのかがわからなくなってきていました。もうひとつは、東京で仕事をしていくことに未来を感じれなくなっていたこと。いっそえいやで飛び出してしまえ、ということで京都に引っ越すことにしました。
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すべてがお金で交換可能になったことで見えなくなってしまったこと
それまではずっとマンション暮らしだったために、インテリアというものは基本的には量産品をお店で買ってきて使うものだとばかり思って、ひたすらこれも仕事で稼いだお金をお店に言われた金額のままに支払って、交換してくる生活をおくる日々。東京は、徐々に全てがお金で交換できるものだけになって行っているようでした。そのような状況から、常々、そもそもの「暮らし」って一体なんなのか。日本人は50年前までは当たり前のように木造の家に住んでいたわけで、そういう空間で毎日煮炊きして食べ物をつくること、そして願わくば一番最初の記事にあるような石田さんのように食べ物を畑で育てるというところからやったり、家具や器も日本の地域社会に根強く残っている伝統技法で作られたものを集めてきて暮らす、ということを始めたのです。
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この家の同居人である柳瀬顕(やなせ・けん)さん、23歳。立命館大学の4回生で今年の春卒業します。せっかく京都にいるのだから、丁寧な暮らしをしたいと思って、一年前にシェアメイトの募集を見てやってきました。元々料理好きだった彼は、この家に住んでいると、ほとんどの食事が自炊になります。この家には、そのような丁寧な暮らしや、今の時代の暮らしに疑問を持っている人が集まってきます。
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これまで集めてきた陶器と漆器。この器で食事をすると、ぜんぜん味が違ってきます。
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DIY2.0(Do It Your Self)のかたち
DIYは、もともと1945年にイギリスで始まり、アメリカを通して日本に輸入されてきた概念です。最近でこそ、東急ハンズやホームセンターに行くことで、日曜大工の延長としてDIYというものが生き残っているように感じますが、要するに「自分で作ろう」ということだと思います。でも、ただ自分の手でつくればいいという意味ではありません。いまでも家は大手ハウスメーカーが建てた家や、大手デベロッパーが建てたマンションに住み、30〜40年ものローンを支払って生きていくということが一般的だと思いますが、そういう人生をおくるのは絶対に嫌でした。いずれどこかに家を建てるということもあるかもしれませんが、なぜ家が何千万円もかかるものなのか?それは本当に必要なのか?ということを考える上でも、なるべく「自分で作る」ということには大きな意味があると思います。現在のDIYは元々の精神を忘れてしまって形骸化された日曜大工だと言わざるをえません。そのための実験ということもあって、京都にはまだかなりの数が残っている京町家を自分でできる範囲でリノベーションして実際に住んでみました。
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あまり存在しない選択肢
そんなことを考えていつつも、改装のための木材は現実的には東急ハンズかホームセンターで買ってくるしか選択肢がありません。ホームセンターでは購入した木材をせいぜい直線カットしてくれるくらいなので、あまり細かい加工をお願いしたり、こういうときはどうしたらいいの?といったような相談はできないし。それに、自分自身で丸ノコなどの本格的な加工機械を購入するところまではやろうと思っていなかったのです。そんな時にニシアワーのオーダーメイドで改装することを思いついたのでした。
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まず、最初に作ったのは、京間四畳半のリビングにあわせたテレビ台。丁度床の間部分の空間が空いていたので、その寸法にあわせてオーダーメイドで杉の板と角材だけを発注。届いた材料をバーナーで「焼き杉」に加工しています。もともと焼き杉とは、建物の外壁などに使われる工法で、火事から家を守るための加工なのですが、無垢の杉板に焼き加工を施すことで、塗料では表現できない色と艶が生まれます。合板でこの加工を行うと、表面の化粧板がめくれ上がってしまうので、無垢材でなければできない手法です。
テレビ台の上もハロゲンライトのスポットライトを2つ入れてあります。古民家と蛍光灯というのは非常に相性が悪く、白い色の光りになってしまうと、隅々まで綺麗に見えてしまうために雰囲気がぶちこわしになるためです。元々蝋燭の明かりで暮らすために出来ている空間なので、家中の照明はハロゲンライトか暖色系の白熱電球に変えてあります。
テレビ台 ¥34,000 Size / ordermade 杉(スギ)
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作り付けになっているキッチン収納の扉部分も、元々はマンションやアパートでよく見るプラスチックの取っ手が付いた白い化粧板の扉が取り付けられていました。これが非常にキッチンを安っぽく見せてしまっていたので、オーダーメイドでヒノキの板に交換。雰囲気を合わせるために自然塗料のオスモカラーで焦げ茶色に塗装してあります。この扉部分の取り付けには非常に苦労がありました。元々取り付けられていた扉の蝶番の部分が長年の湿気にやられて錆びて腐っていたのをペンチで破壊しながら取り外し、元々のビス穴を若干横にずらして、やっと新品の蝶番金具を取り付けることができました。実際の建築施工現場では、扉は扉の取り付け専門の職人さんがいるそうです。
接ぎ板 ¥7,600 Size / ordermade 檜(ヒノキ)
color / オスモカラー3163 ウォルナット
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古民家の水回り、特に浴室は本当に悲惨です。その情景はお化け屋敷さながらで、ひたすらカビと湿気との戦いになります。この家の場合、まず換気扇がなかったので換気扇の取り付けから始まりました。その上で、杉の角材で浴室のコーナーサイドにやぐらのようなものを組み立てて、やぐらに合わせてヒノキの無垢板を貼り合わせていきます。こうしてヒノキの浴室が出来ました。
壁材 ¥86,700 Size / ordermade 檜(ヒノキ)
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京町家には必ず奥に坪庭があります。七輪が置いてあって、夏はここで日常的にバーベキューをやっています。
家の近くに24時間営業のスーパーマーケットというようなものがありつつ、この左京区でももう少し北の方へいけば畑もあったり。京都は現在では中規模の都市なんですが、程良く田舎がミックスされているあたりが心地よいバランスなのかもしれません。太平洋戦争の空襲がなかったために、今でも築50〜100年程度の家がたくさん残っており、それらに手を入れながら暮らしというものを見つめ直すには良い場所なのかもしれません。
| data | kyoto kitchen http://www.kyoto-kitchen.in/ 京都にキッチンがあったらな。ということでkyoto kitchenという名前になりました。短期の宿泊や料理を交えたイベントの開催は常に受け付けており、現在新住民募集中。詳しくはウェブサイトまで。 |







愛媛の建設会社に勤めています。8年ほど前まで京都に今の奥さんと暮らしていました。なので、この状況、よくわかります。京都の持つ文化的なベースの豊かさは、一地方都市として見習いたい部分です。ちなみに、こちらに来てから、DIYの腕を上げ、ひとりで家具を作るまでになりました。といっても、やっぱり職人の技には到底追いつきません。ニシアワーさんの取り組み、興味深いなぁ!
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